プロ野球選手の大まかな1年のサイクルとして、年明けの自主トレ期間を経て、春季キャンプに入ります。そして、オープン戦で調整やアピールをしてシーズンが開幕。
そして、シーズン終盤を迎えると優勝争いやクライマックスシリーズ(CS)進出争いが注目を集めます。一方で優勝やCS進出の可能性が無くなったチームは来季以降の準備期間に入っていくでしょう。
そこでシーズン終盤からシーズンオフにかけてプロ野球界の話題に上がるのが選手のフリーエージェント(FA)です。
本記事ではフリーエージェント(FA)制度について紹介いたします。
FA制度とは!?
フリーエージェント(FA)とは、いずれの球団とも選手契約を締結できる権利をもつ選手のことを指します。つまり移籍制度の1つです。
FA権には、国内FAと海外FAの2種類があります。
- 国内FA
- NPB組織のいずれの球団とも選手契約を締結できる権利です。
- 海外FA
- 外国のいかなるプロ野球組織の球団も含め、国内外のいずれの球団とも選手契約を締結できる権利です。
国内FA権の取得には、セ・パ各リーグの年度選手権試合期間中に145日以上出場選手登録されたシーズンを1シーズンとして計算し、合計8シーズンに達したときに資格を取得します。
ただし、2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手は、7シーズンです。
海外FA権の取得には合計9シーズンに達したときに資格を取得できます。
ただし、それ以前に国内FAの権利を行使した場合を除かれます。
1シーズンの計算方法は以下の通りです。
出場選手登録日数が145日に満たないシーズンがある場合は、それらのシーズンの出場選手登録日数をすべて合算し、145日に達したものを1シーズンとして計算します。
他には、一度FA権を行使し、その後NPB組織のいずれかの球団と契約した選手が、海外FA権を取得するには4シーズン必要です。
また、FA制度には選手の移籍先球団が移籍前球団に金銭もしくは選手を補填する定めもあります。各球団、選手を年俸順にAランク・Bランク・Cランクとランク付けしており、補償が求められるのはAランクならびにCランクの移籍時です。
補償内容は人的補償と金銭補償の大きく2種類があり、移籍前球団が補償内容を選択します。
他にも、細かな規程があるので詳細は日本野球機構のHP等に記載されているので、参考にするとよいでしょう。
FAはいつできた制度!?
1993年オフにFA制度は幕を開けました。背景の1つにあったのが、以前はトレードが無ければ基本的に他球団でプレーできず閉鎖的であったということです。
球団側は選手の残留もしくは移籍交渉で年俸の高騰を懸念していたため、FA制度導入は容易ではありませんでした。
しかし、他のスポーツ、特にサッカー界では1991年にJリーグが設立され、1993年にリーグ戦が始まりました。サッカー界では当時から一定のルールはあるものの野球界より柔軟に移籍が認められており、プロ野球界はサッカー界の躍進による今後の野球離れを危惧します。
そして、プロ野球選手会が中心となって導入に尽力し、1993年のオフにFAが制度化されました。
その後、2003年と2008年に制度改正が行われ、現行の制度が定着しています。
参考ですが、FA制度が導入される以前、1947年から1975年までは10年選手制度と呼ばれる移籍制度が運用されていました。しかし、選手が球団を選べる制度ではなかったため、移籍が活発に行われることはありませんでした。
10年選手制度の概要としては、移籍希望の選手に対して下位球団がウェーバー順に獲得の名乗りをあげます。この名乗りに対して、選手が入団を選択するのか拒否するのかを選択する制度だったのです。
そのため、現行のFA制度と比較して自由度に欠けるため、10年選手制度を活用しての移籍はあまり多くありませんでした。
海外FAとポスティングシステムとの違い
選手はFA制度を活用して他球団に移籍やメジャーリーグに挑戦していますが、FA制度ではない方法でメジャーリーグに挑戦する方法があるのはご存知でしょうか。その方法はポスティングシステムと呼ばれ、近年使用する選手が益々多くなりつつあります。
では海外FAとポスティングシステムはどのような点が違うのでしょうか。
違いについて見ていきましょう。
ポスティングシステムは海外FA権を持たない選手がメジャーリーグに挑戦するための制度です。
海外FA権を取得した選手は所属球団の意向は関係なくメジャーリーグに挑戦できる一方で、ポスティングシステムを活用してメジャーリーグに挑戦したい場合、球団の許可が無ければ移籍できません。
ポスティングシステムを活用する意味合いとしては、早期にメジャーリーグに挑戦することです。海外FA権を取得するために少なくとも計9シーズンを日本でプレーをする必要がありますが、ポスティングシステムの利用を球団に認めてもらえればその必要がありません。
この海外FA権までの道のりの長さこそ、メジャー志向の強い選手がポスティングシステムの利用を球団に申し出る理由です。
他にポスティングシステムと海外FAが異なる点は金銭面です。海外FA権を行使する際、特段交渉や契約の場で金銭授受は発生しません。しかし、ポスティングシステムを利用した場合、所属球団は移籍球団から譲渡金を取得できます。
FAを活用した選手と今後FA権を取得する見込みの選手たち
FA権を行使して2023年から新天地でプレーしている選手は以下の通りです。
- 国内FA宣言選手
- 伏見寅威選手(オリックス・バファローズ→北海道日本ハムファイターズ)
- 森友哉選手(埼玉西武ライオンズ→オリックス・バファローズ)
- 外崎修汰選手(埼玉西武ライオンズ→埼玉西武ライオンズ)
- 嶺井博希選手(横浜DeNAベイスターズ→福岡ソフトバンクホークス)
- 岩崎優選手(阪神タイガース→阪神タイガース)
- 海外FA宣言選手
- 千賀滉大選手(福岡ソフトバンクホークス→ニューヨーク・メッツ)
- 近藤健介選手(北海道日本ハムファイターズ→福岡ソフトバンクホークス
- 西勇輝選手(阪神タイガース→阪神タイガース)
このように見ると、FA宣言をしたにも関わらず移籍していない選手が存在します。FA宣言をすることにより、選手は他の球団とも交渉することが可能です。
FA権を行使することにより移籍の可能性も拡がりますが、他球団からの評価を見ることができ、所属球団との契約交渉の材料とすることもできます。1つ懸念点としては、FA権を行使した結果の残留を認めていない球団もあるので注意が必要です。
続いて、2023年シーズン中にFA権を取得見込みの選手の代表例として数人紹介いたします。
横浜DeNAベイスターズの今永昇太選手、北海道日本ハムファイターズの加藤貴之選手、
福岡ソフトバンクホークスの東浜巨選手らが取得見込みです。
一方で東浜選手の高校ならびに大学時代にバッテリーを組んでいた嶺井選手がホークスに移籍をしてきたことも踏まえると、東浜選手のFA権行使の可能性は低いかもしれませんね。
まとめ
今回はプロ野球でオフシーズンに毎年話題に上るFA制度について触れてきました。日本プロ野球選手会の方々らの働きなどもあり、歴史を経てプロ野球の世界でも多くの制度が拡充してきています。
制度面などからプロ野球の歴史を紐解いてみるのも面白いかもしれませんね。
<参考文献>
フリーエージェントについて | 2019年度公示 | NPB.jp 日本野球機構
https://npb.jp/announcement/2019/fa_about.html
フリーエージェント宣言選手 | 2022年度公示 | NPB.jp 日本野球機構
https://npb.jp/announcement/2022/fa_filed.html
プロ野球の「FA」とは? 「フリーエージェント」の仕組みや「ポスティング」との違いを紹介!|パ・リーグ.com
https://pacificleague.com/news/37903
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