2023年9月「ラグビーワールドカップ2019フランス大会」が開幕しました!
日本代表は初戦のチリ戦に勝利し、幸先のよいスタートを切りました!
今回は、ラグビーのニュージーランド代表(愛称:オールブラックス)が試合前に披露する「ハカ」についてご紹介します。
目次
ハカとは
ハカは先住民マオリの伝統的な踊りで、戦士が戦いを前に手を叩き、足を踏み鳴らして自らの力を誇示することで、相手を煽る舞踊です。「HA・KA」の「HA」とは息、「KA」は炎という意味です。
マオリ族の伝説では、太陽神「タマ・ヌイ=テ=ラ」には2人の妻(冬の女神:ヒネ・タクルア、夏の女神:ヒネ・ラウマティ)がおり、冬の女神のヒネ=ラウマティの産んだ息子、タネ=ロレが踊り出したものとされています。昔は一族が団体でハカを行なう場合は、部族の強さと結束力を表現していました。現代も暮らしの中にハカは息づいており、誕生日や卒業式、結婚式、お葬式、客人を歓迎する儀式など、重要な場面で敬意をもって披露されています。
顔の表情や動作も特徴的で、舌を突き出したり、リズミカルに体で手拍子をとり、大きなかけ声に合わせて舞い踊ります。なお、かけ声の内容は、歴史と先祖にまつわる詩が一般的です。
よくある誤解の一つに「ハカをするのは男性だけ」というものがあります。たしかに男性限定のハカも存在するのですが、誰でも行うことができるハカもあれば、女性限定のハカもあるのです。
また、マオリ族ではない人でもハカを習うことはできますが、ただ見よう見まねで踊るのではなく、文化や伝統を尊重する気持ちも大切です。せっかく覚えるのであれば、ハカの重要性、何を表現した踊りなのかといった背後にあることも理解したいですね。
なぜ試合前にハカを披露するのか
試合前にハカを披露するラグビーのニュージーランド代表(愛称:オールブラックス)は、ワールドカップ優勝3回、ザ・ラグビーチャンピオンシップ(南アフリカ代表(スプリングボクス)、オーストラリア代表(ワラビーズ)、ニュージーランド代表(オールブラックス)、アルゼンチン代表(ロス・プーマス)のラグビーユニオン代表チームが参加する国際リーグ戦)(前身のトライネイションズでの10回含む)優勝18回を誇る、言わずと知れた強豪国だ。その強さは桁違いで、これまでに行われた試合の約4分の3の試合で勝利しているというから驚きです。
オールブラックスが試合前にハカを披露するのは、「戦争の神に祈りを捧げて神から勇気と力を与えてもらうと同時に、内にあるエネルギーを燃え上がらせ、恐怖心を追い出すため」と言われています。ラグビーの試合で披露されるハカには決して、敵意をもった攻撃的なメッセージはなく、世界中の国やチームと競い合う際、強い気持ちを取り戻し、チームとしての団結を与えたり、奮い立たせてくれたりするものなのです。
オールブラックスが披露するハカは2種類あり、一つが伝統的な「カ・マテ(Ka mate)」、もう一つが2005年8月に披露されたオールブラックスのために作られたハカ「カパ・オ・パンゴ(Kapa o Pango)」です。
「カ・マテ(Ka mate)」
マオリのナティ・トア族の首長テ・ラウパラハによって19世紀はじめに作られたハカで、オールブラックスが試合前の儀式として披露するようになってから、カ・マテは世界中で有名になりました。踊りには「喜んでこの試合を受け入れ、対戦を望んでくれた相手に敬意を表す」意味が込められています。
「カパ・オ・パンゴ(Kapa o Pango)」
マオリ語でKapaは「チーム」、Pangoは「黒い」という意味があり、「カパ・オ・パンゴ(Kapa o Pango)」は直訳すると「黒のチーム」、まさにオールブラックスのために作られたハカとなっています。重要な試合の前に踊ると言われており、自分の首をかけて戦うという力強いメッセージが込められています。
歌詞の中でマオリ語で「ポンガ=シルバーファーン」という言葉が出てきますが、これはニュージーランドの国を象徴する植物「シダ」のことで、葉の裏が白っぽい銀色をしているのが特徴です。ニュージーランドでは、国を代表するスポーツチーム、ニュージーランド航空の機体など、このシルバーファーンが至るところに使われており、シンボルマークとなっています。
ハカの豆知識
ハカだけではない! 各国の試合前の儀式
オールブラックスのハカ以外にも、「ウォークライ(戦いの雄叫び)」と呼ばれる儀式を試合前にする国があります。実際にどのような特徴があるのか、テレビや会場で確認してみるのもラグビーの楽しみの一つなのかもしれませんね。
・サモア代表【シバ・タウ】/リズミカルで動きが早いのが特徴
・トンガ代表【シピタウ】/拳をフィールドに叩きつけたり振り上げたりする、勇猛なダンスと迫力のある掛け声が特徴。
・フィジー代表【シビ】/腰を落として雄叫びを上げながら前進し、最後に全員でジャンプするのが特徴。
ハカの暗黙ルールをやぶると罰金
義務付けられてはいませんが、ハカを受けるチーム側は肩を組んでジッと待つということが決められており、このルールをやぶると罰金に課せられる場合があります。
2011年ラグビーワールドカップニュージーランド大会決勝戦でハカを受けたフランス代表がアウェイの中、ハカに対して闘争心剥き出しにハーフラインを超えました。この行為でフランスは罰金を課せられましたが、後に「覚悟の上で行った」と説明がありました。
この行為は今もラグビーファンの中で語り継がれる名シーンとなっています。
ハカは特別?ずるい?
「ハカを披露することはずるい」といった考えがありますが、決してそのようなことはありません。ハカを披露し試合開始時間が遅れるなど、運営に支障をきたしてしまってはいけませんが、ラグビーの試合前にハカをしてはいけないというルールは今のところありません。サッカーや野球の試合前の円陣と同じような意味合いであり、その時間の使い方は自由なのです。
マオリ族は敵と対面する戦場へ向かう前に、ハカで士気を高めていた時代もあったようです。ラグビーの試合前に踊りや儀式などをしてはいけないというルールがない以上、禁止にする理由はありませんね。
日本で初めてハカ披露されたのは空港!
日本で初めてハカが披露された場所は、実はラグビー場ではありませんでした。23歳以下で形成されるニュージーランド代表「コルツ」が、1958年に日本遠征に来日した際、羽田空港に到着したタイミングで選手たちがいきなりハカを披露したと言われています。
初めて空港でハカを見た日本人はさぞ驚いたことでしょう。もちろん披露されたのは空港だけではなく、秩父宮競技場で行われた試合前にも披露されました。
まとめ
今回の記事で、ラグビーニュージーランド代表(愛称:オールブラックス)が試合前に披露する「ハカ」のことがわかりましたでしょうか。オールブラックスが披露するハカの迫力はすさまじく、はじめて見た人は圧倒されること間違いなしです。
こういった「ハカ」「ウォークライ」のような各国の伝統的な儀式を試合前に楽しめるのも、ラグビーの魅力の一つかもしれません。
いよいよラグビーワールドカップ2023フランス大会もはじまりました。ぜひこの記事でハカに興味をもっていただき、応援するきっかけになればうれしいです。
<参考記事>
畏敬に満ちたハカを実際に目にするときは、心して臨みましょう。世界でも有名なマオリの伝統舞踊、ハカの迫力は圧倒的です。 | 100% Pure New Zealand
https://www.newzealand.com/jp/feature/haka/
ハカってひとつだけじゃない!? | ニュージーランド留学センター
https://newzealand-ryugaku.com/column/haka/
ニュージーランドのマオリ族のダンス・ハカの特徴や踊る意味も紹介! | ジャパンユースダンスフェスティバル2023
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