バスケットボールの世界最高峰リーグ「NBA」では、新人選手を対象とした表彰として「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」と呼ばれるものがあります。これまで受賞してきたスーパースターたちのほか、このほど開幕した2023-24シーズンにおける有力選手を取り上げていきます。
目次
NBAでの「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」とは?
記者投票によって決まる、新人選手への栄誉
NBAでのルーキー・オブ・ザ・イヤーは、1952年に導入された制度です。この賞は、スポーツライターや放送局の関係者などが、候補選手の中から1位・2位・3位の票を投じ、投票をポイント化して表彰するものです。2022-23シーズンの投票では、1位票に5ポイント、2位票に3ポイント、3位票に1ポイントが割り当てられ、最多ポイントを獲得した選手がルーキー・オブ・ザ・イヤーとして選出されます。
2023-24シーズンから、NBAでは新たな労使協定(Collective Bargaining Agreement = CBA)が結ばれています。この労使協定では、MVPなどの賞に対して、レギュラーシーズンで65試合以上の出場した者に限る、という規定が設けられています。ですが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの投票では、そうした最低出場試合数の規定は設けられないこととなっています。
NBAにおける「新人」とは
NBAにおいては、CBAによって「新人」の規定が定められていて、ルーキーシーズンに1日でもロスター(試合出場が可能なメンバー)に登録されていれば(その間に試合に出ていなくても)、次のシーズンでは「2年目」という扱いに変わってしまいます。ルーキー・オブ・ザ・イヤーでの扱いも同じなのですが、ケガや兵役、学業などを理由に、チームと契約していても、NBAの舞台に全く立てないまま1年を送る選手も中にはいます。歴代の受賞者の中で、ジェリー・ルーカス(1963-64シーズン)、ラリー・バード(1979-80シーズン)、デイビッド・ロビンソン(1989-90シーズン)、ブレイク・グリフィン(2010-11シーズン)、ベン・シモンズ(2017-18シーズン)といった面々は、NBAに入ったばかりのシーズンでそれぞれ全休となり、チームとの契約2年目でNBAデビューを果たしました。
歴代の受賞者は?
NBAでのルーキー・オブ・ザ・イヤーの、歴代の受賞者は以下の通りとなっています。目にしたことのあるスーパースターや、その後殿堂入りした選手の名前もみられます。
NBAルーキー・オブ・ザ・イヤー、2024年の獲得者は誰だ?
2023年10月に開幕した、NBAの2023-24シーズンにおいても、注目のルーキー選手たちがすでに活躍を見せています。ドラフト上位指名選手を中心に、有力候補を見ていきましょう。
ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)
2023年のNBAドラフトで話題をさらい、全体1位指名でスパーズに入団したビクター・ウェンバンヤマ。身長223.5cmという驚異的な高さがありながら、ジャンプ力やボールハンドリングなど、身体能力も抜群という、これまでの長身選手とは別格の存在とも言えます。
シーズン開幕直後から、ポテンシャルを十二分に披露していて、開幕から3試合続けて2桁得点を記録するなど、早くもトップ選手の仲間入りを狙う存在になったウェンバンヤマ。開幕を前にした各チームのGMからの投票でも、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの最有力候補と考えられています。
スクート・ヘンダーソン(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
身長190.5cmと、NBAの世界では決して大柄ではない中で、スクート・ヘンダーソンは、バネの利いた身体能力が魅力とも言えます。ヘンダーソンはこれまで、NBAの下部組織である「Gリーグ」で若手有望株を育成する特別チームGリーグ・イグナイトに所属してきました。指名直後のNBAサマーリーグでは、初戦で負傷退場するという不運も味わいましたが、開幕にはしっかりと間に合い、初戦からスターターとして出場を続けています。
19歳にしてNBA入りを果たしたヘンダーソンは、これまでトレイルブレイザーズのエースであり司令塔だったデイミアン・リラードに代わる存在としても注目されているとも言え、その成長度合いは今後も注目されていくことでしょう。
アメン・トンプソン(ヒューストン・ロケッツ)、アサー・トンプソン(デトロイト・ピストンズ)
アメン・トンプソンとアサー・トンプソンは双子プレイヤーとして今年からNBA入り。まだ20歳と若いこともそうですが、そして、この2人がすでにプロリーグを経験していることが大きなポイントと言えます。
2人は2021年に発足した、高校生年代を対象としたプロリーグ「オーバータイム・エリート」の出身です。高校生としての勉学に励みつつ、プロ選手としてプレーで収入を得る(その額は最低でも10万ドル)という新たな試みを狙うリーグで活躍した2人は、揃ってドラフト1巡目でNBA入りを果たしました。ともに開幕から試合出場も果たしていて、2人のミドルネームの通り「XLNC(=excellence・優秀の意味)」な活躍となるかが期待されます。
NBAのルーキー・オブ・ザ・イヤーを、みんなで予想してみよう!
今回の記事では、NBAでのルーキー・オブ・ザ・イヤーについて解説をしていきました。開幕したばかりのNBAですが、先ほど挙げた選手以外にも花開くルーキーが現れる可能性もあるかもしれません。NBAを見ながら、皆さんでルーキー・オブ・ザ・イヤーを予想する…という楽しみ方も良いかもしれませんね。
<参考記事>
LARRY COON’s NBA SALARY CAP FAQ
http://www.cbafaq.com/salarycap.htm
NBA最優秀新人賞(新人王) 歴代受賞者リスト|NBAアウォード(スポーティングニュース日本語版・NBA Japan)
2023 NBA Rookie of the Year Voting(AP通信)
https://apnews.com/article/sports-35b9793aef42d37b116bf3e90a1f8e36
NBA CBA: New details emerge about in-season tournament, 65-game threshold for MVP, other awards(CBS)
ビクター・ウェンバンヤマ(NBA Rakuten)
https://nba.rakuten.co.jp/players/1641705
2023-24 NBA GM Survey: 50 questions ahead of new season(NBA.com)
https://www.nba.com/news/2023-24-nba-gm-survey
スクート・ヘンダーソン(NBA Rakuten)
https://nba.rakuten.co.jp/players/1630703
「俺は唯一無二」と豪語するスクート・ヘンダーソン 怪物ウェンバンヤマと並び称される18歳の逸材(NBA Rakuten)
https://nba.rakuten.co.jp/news/8947
NBA Gリーグの新チーム名が『イグナイト』に決定(スポーティングニュース日本語版・NBA Japan)
https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/nba-g-league-new-team-ignite/jag1qwmkkffv1xgl1ojl0sd68
Top picks Scoot Henderson, Amen Thompson hurt in NBA debuts(ESPN)
https://www.espn.com/nba/story/_/id/37976119/top-picks-scoot-henderson-amen-thompson-hurt-nba-debuts
ブレイザーズを退団したリラード「バックスで迎える新たなチャプターを楽しみにしている」(BASKETBALLKING)
https://basketballking.jp/news/world/nba/20230928/453334.html
Twins Amen and Ausar Thompson set to be taken in top-10 of NBA draft(ABC)
https://abcnews.go.com/Sports/wireStory/twins-amen-ausar-thompson-set-top-10-nba-100249856
Inside the New Basketball League Paying High Schoolers Six-Figure Salaries(TIME)
https://time.com/6114853/overtime-elite-league-salary/
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