地味に見えて必要なプレー!野球のバントを徹底解説

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地味に見えて必要なプレー!野球のバントを徹底解説

2023/11/26

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野球の試合を見ていると、バントをするシーンをよく見ますよね。

見栄えのするホームランや長打に比べると、地味なプレーに見えます。

しかし野球においてバントは、とても必要なプレーなのです。

 

本記事ではバントとは何か、バントの重要性などを徹底解説します。

「バントはどんな意味があるのかな?」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。

野球のバントとは

バントとは、バットを振らずにバットを横倒しにボールを前へ転がす手法を指します。

高い確率でバットにボールを当てられるので、ランナーを活かせる確率が上がります。

次でバントは主にどのような場面で必要か、をみていきましょう。

 

バントの効果

最もバントが求められる場面は、ランナーを確実に次の塁に送りたいときです。

確実にランナーを送って、得点を取りたいときにバントをするシーンがよく見られます。

 

また足の速いバッターであれば、セーフティスクイズ(後述)で塁に出ることも可能。

ホームベースの近くに転がすことができれば、セーフになる確率も高くなります。

バントの成功確率

バントの成功率は、7割から8割です。

バント以外だと一流バッターでもヒットになる確率は3割台なので、いかにバントの成功率が高いかがわかりますね。

 

また最もバントが成功しやすい場面はノーアウト2塁で、成功確率は約9割です。

バントが決まれば、2塁ランナーは当然3塁に入ります。

1塁と3塁は遠いので、どちらもアウトにできるのは難しいでしょう。

バッターが上手く1塁方面に転がせば3塁より確実にアウトにできる1塁に投げます。

 

反対にバントの成功確率が低いのは1、2塁の場面です。

成功確率7割強。

ボールが転がった位置によってはダブルプレー、最悪の場合トリプルプレーにもなるので

正確にバントを打てる技術が求められます。

 

バントの種類

バントと一口にいっても、いくつか種類があります。

バントの種類は大きくわけて3つあり、状況に応じてバントの呼び名が違うのでご紹介します。

 

➀送りバント

送りバントは塁に出ているランナーを確実に送りたい、というときにします。

上手くボールを転がさないとダブルプレーになってしまうので、正確さが求められます。

➁セーフティバント

前述のとおりセーフティーバントは、足が速いバッターがすることがほとんどです。

打球の勢いを抑えてボールを転がすことができれば、セーフになる確率も上がります。

③スクイズバント

スクイズバントは、3塁にランナーがいるとき限定です。

相手の意表をついて点を取るのが目的。

失敗してしまうと勢いあまってホームに突っ込んできた3塁ランナーが、サードとキャッチャーに挟まれアウトに。

得点のチャンスを逃さないためにも、確実に決める必要があります。

野球選手も知らない?!バントのルール

バントのルールは意外に複雑で、野球選手でもきちんと把握している人は少ないのではないかといわれます。

バントは3回失敗したらアウト(スリーバント失敗と呼ばれる)になることは、知っている方が多いでしょう。

 

多くの選手が惑わされるのが、ピッチャーが投げた瞬間にバットを引っ込めたがバットに当たってファールになったとき。2ストライクの状況であれば、一見アウトになると思われがちです。

しかし実際はアウトにはなりません。判断が難しいので、選手はもちろんときには審判も迷うことがあります。

 

バントはいらない

一部では「バントはいらない」という声もあります。

本当にそうでしょうか?

野球においてバントはどのような立ち位置か、そしてなぜいらないといわれるのかをお話します。

 

バントは必要不可欠なプレー

元中日ドラゴンズの落合監督は「バントは必要不可欠だ」といいます。

確実にランナーを進塁させるためには、バントが一番確率が高い。

どうしても得点がほしい場面でランナーを進塁させられないどころかダブルプレーになるとかなり痛いですよね。

 

特に1点を争うゲームでは、1つ1つのプレーが大切です。

勝つためには、バントは欠かせません。

なぜバントはいらないと言われるのか?

バントがいらないといわれる理由は「アウトカウントが増える」からです。

野球の試合を見ていればわかりますが、ランナーを進塁させられる確率は高いもののアウトカウントは1つ増えます。

 

アウトカウントを気にせずバントをするのか、長打を狙って大量得点を期待するかはそのときの状況で変わってくるでしょう。

バントの構えは相手にプレッシャーを与えるのか

バントの構えが相手にプレッシャーを与えるのか、について答えは「イエス」です。

特にランナーがいるときは、明らかにストライクゾーンへ投げ込む回数が減ります。

これはバントを成功させないための、1つの作成といえるでしょう。

 

一方でランナーがいないときは、バントの構えをするかしないかで投球スタイルに顕著な差はありません。

バントのメリット・デメリット

バントにはメリット・デメリット両方があります。

それぞれ見ていきましょう。

メリット

バントの一番のメリットは、ランナーの次の塁に進められることです。

ここでどうしても1点がほしい、追加点がほしいときに効果を発揮します。

 

さらに守備の意表をつくバントができれば、ミスを誘発できる可能性も。

相手が打球処置をもたつく間に、2つ(例えばファーストからサードへ)進められます。

セカンドにランナーがいるときであれば、一気に得点につながります。

地味なように見えてビックチャンスを生み出す可能性を秘めている、それがバントなのです。

デメリット

バントのデメリットは下手をするとアウトカウントが2個同時に、最悪の場合3個同時に増えることです。

バントは上手くボールを転がすことができれば、得点のチャンスが広がることが前述でお話しました。

しかし守備陣の真正面に転がしてしまうと簡単に捕球されてしまい、アウトカウントを増やしてしまうことに。

チャンスを広げるためのバント力が求められます。

 

バントの名手をご紹介

バントでは、しばしば大記録が打ち立てられることも。

ここではそんな「バントの名手」を2人ご紹介します。

川相昌弘さん(元読売ジャイアンツ)

1人目にご紹介するのは、元読売ジャイアンツの川相昌弘さんです。

川相さんはバントで通算533本のバントを記録し、これは世界記録になっています。

バントの成功確率は、じつに9割超え。

その功績をたたえ「バントの神様」と呼ばれます。

川相さんはバントを成功させる練習だけではなく、失敗する練習もしていました。

成功・失敗どちらの感覚も覚えることによって、より成功する確率を模索するというストイックさが、大記録を生み出したのでしょう。

今宮健太選手(ソフトバンクホークス)

今宮健太選手は、2023年に史上4人目の350バントを達成しました。

大砲揃いのソフトバンクの中で、こうしたバントが上手い選手は貴重です。

今宮選手がバントで送り、4番5番が長打で返す。

ソフトバンクはこうした得点につながる軸がしっかりしているので、長年強さを保てているといえます。

バントは野球には欠かせない

野球において、バント1点がほしいというときに欠かせないプレーです。

地味に見えてもバントをしない試合はないといってもいいほど、必要なものになっています。

野球の試合を観戦するときはどんな場面でバントをするのか、に注目してみるといつもとは違った楽しみ方ができます!

 

 

<参考記事>

川相昌弘氏「みんなが遊びに行くチャンスを待ってた」 バント練習「考えが変わった」出会いとは…

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/01/20/kiji/20230120s00001173419000c.html

 

史上4人目の通算350犠打 今宮健太が語る「バントの極意」三カ条とは

https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/785828

 

バントの種類を目的別にご紹介!メリットやコツも調査!

https://sposuru.com/contents/sports-quest/baseball-bunt/

 

落合博満氏「送りバントは不要か」の問いに即答 「絶対なくてはならない戦術のひとつ」

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/05/05/kiji/20230501s00001173499000c.html

 

バントの目的やメリットは?コツや守備シフトについても解説!

https://spojoba.com/articles/997

 

バントの構えは本当に相手を揺さぶることができるのか?

https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53736

 

バントの構えは投手にどの程度影響を与えるのか 

http://www.baseball-lab.jp/column/entry/222/

 

無死一二塁からのバント戦術を考えるPart2 ~成功率の検証~

https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53680

 

この記事を書いた人

Engate Media編集部

Engate Media編集部

Engate Mediaの編集部です。スポーツ業界やスポーツを支える業界で活躍するキーパーソンのインタビュー記事やスポーツ業界の最新ニュースをお届けします。公式Twitter: @EngateInc

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